与党・自民党と公明党による、安全保障法制の協議が進んでいる。今月末までに一定の合意を目指すという。国のあり方の根幹を変える、非常に重要な問題だ。それにも関わらず、実に狭いところで話が進んでいることに、僕は危惧を覚えざるを得ない。
3月9日、「朝日新聞」がこの状況について社説で指摘している。「日本のありようを根底から変えるような動きである。国民の理解を得る努力を抜きに、拙速に進めるべきではない」と、昨年の閣議決定について批判しているのだ。
この社説ではさらに、「『切れ目のない』は『歯止めのない』につながりかねない。(中略)自衛隊の迅速な対応を重視する考え方だが、逆に言えば、小競り合いを止める間もなく事態がエスカレートし、軍事衝突に発展する危険性をはらむ。ならば、むしろいったん切れ目を置いて、起きてしまった紛争を最小限にとどめる方策を考えるべきではないか」と述べる。「安保法制の与党合意に突き進む前に、立ち止まって考えることがあるはずだ」とも書いている。
僕もまったく同感だ。集団的自衛権の拡大をはかる自民党に対し、公明党は慎重な態度を取ってきた。だが、この「協議」において、公明党がどんどん妥協していることは明らかなのだ。社説ではその点も厳しく突いている。
さらに社説では、もうひとつの問題点、「中東ホルムズ海峡の機雷除去」についても、「どんな事態なら要件に合致するのか、肝心な点はうやむやである。それなのに公明党は『歯止めをかけた』と言い、政府・自民党は『将来に行使可能な余地を残した』と考える」と述べている。
「福島原発・吉田著書」と「従軍慰安婦」の誤報問題が発覚して以後、「朝日新聞」は記事に精彩を欠いていると僕は感じていた。もちろん、これら一連の報道に問題はあった。多くの読者に迷惑をかけたのもまた事実だ。さらにいえば、問題発覚後、まるで自分たちが被害者であるかのような姿勢にも、大いに問題があったと、僕は感じている。ただ、政府に対して厳しい姿勢で臨むという、「朝日新聞」の報道姿勢そのものに問題があったわけではない、と僕は思いたい。
このような姿勢まで、「朝日新聞」はなくしてしまったのではないかと、僕は懸念していたのだ。その後の「朝日新聞」の報道が及び腰であったと感じられたからである。しかし、今回の社説には迫力があり、きわめて説得力があった。
それにしても、なし崩しにされる公明党、性急すぎる安倍首相はじめ、自民党の視線は、いったいどこに向いているのか。まさに「立ち止まって考え」てみるべきではないかと、僕は思うのだ。
朝日新聞が「歯止め」になったことなど歴史上あっただろうか。
田原さん、あなたはいつも大東亜戦争を繰り返してはならない言うが、満州事変で陸軍が停戦協定を結ぼうとしていたのに、「戦争をしろ」と世論を煽ったのは朝日新聞だ。彼らは「鬼畜米英、暴支膺懲」をスローガンにしていた。
対英米開戦へ突き進んだ近衛内閣の側近にいたのが元朝日新聞記者の尾崎秀実だ。彼は後にソ連のスパイだったことが発覚して死刑になったほど。また風見章も早稲田卒、朝日新聞記者を経て近衛内閣の側近となったが、尾崎とともに逮捕されている。朝日新聞の元記者がソ連のスパイとして働き、日本を英米開戦へ導いたのだ。
戦後も朝日新聞はソ連の新聞社と記者交換を行い、ソ連が日本に情報工作をかける窓口として働いていた。
その後のいわゆる靖国問題も慰安婦問題も朝日新聞が原因だ。
今の日本外交を取り巻く不幸はほぼ全て朝日新聞が関係しているという事実を、あなたは分かっているのか。
本来は、湾岸戦争やイラク戦争の前後で、詰めておくべきことだったと思うが、田原さんの論で行くと、自衛隊の海外派遣は勿論、自衛隊そのものも廃止ということになりかねない。相変わらず、アンバランスで性急な論理立てと言わざるを得ない。
まず、従来の「自衛権発動3要件」は、
1、わが国に対する急迫不正の侵害があること
2、これを排除するために他の適当な手段がないこと
3、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
であり、
昨年閣議決定された「武力行使の新3要件」は、
1、日本や密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある
2、日本の存立を全うし国民を守るために他に適当な手段がない
3、必要最小限度の実力行使にとどまる
というもので、日米安保などを意識した国際的な対応を詰めたという意味で、「切れ目ない」というのは評価できる。逆に言えば、安保の世界では、切れ目がある方が敵に狙われやすく、論理もなし崩しになりやすいと言えるのではないか。
さらに今回は、自衛隊の海外派遣について「3原則」を設け、
1、国際法上の正当性
2、国民の理解と民主的な統制
3、隊員の安全確保
を設定している。これ程の厳格な取り決めは国際的にも評価できるものだろう。
自民党と公明党のQ&Aを参考に載せるが、
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/125706_1.pdf(自民党)
https://www.komei.or.jp/news/detail/20150322_16539(公明党)
これと、朝日新聞の以下の社説を読み比べると、いかに朝日が偏向しているかがよくわかる。朝日こそ、安保に悪い「切れ目」を作り、結果的に国の安全を脅かす世論を生成する媒体であると断じざるを得ない。
「(社説)安保法制の与党協議 立ち止まって考えること」(朝日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11640188.html
「(社説)安保法制の与党合意 際限なき拡大に反対する」(朝日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11661511.html
追伸:
田原さんは、テレビで過去に何度も、「自衛隊はインチキである」と発言されているが、これは、安全保障や防災といった、国民の命にかかわる重大な事項に誤った誘導を行うものであり、ジャーナリストとしての評価を下げざるを得ない。
では、安倍内閣は、何処と戦争しようとしているのか?歯止めが、掛らないというならば、過半数を占める自民党が、本気で遮二無二やるならば、いまの方が、歯止めがが、掛らないのでは?自民党に過半数以上の議席を与えたのは、国民です。」朝日新聞でも公明党でもありませんよ。国民を馬鹿にするのですか?
上のコメントの方々に賛成です。この記事をみたのは今日2016年12月26日、スマホを開けると自然と出てくるYahooニュースの公明党批判の記事からでした。田原さんのブログがリンクされてたのです。しかし!このブログを田原さんが書かれたのは2015年3月!その後、2016年3月20日、田原さんは公明グラフへ、公明党は憲法9条の基本を守った!地に足着いた平和主義を深く信頼。と公明党の正しさを認められました。それなのに、過去の田原さんの意見を、わざわさ嫌がらせ批判のためにネットに挙げたYahooニュースに、腹ただしさ、陰険な策略を感じざるおえません!
補足
上記にYahooニュースと書いたが、詳しくは、Yahooニュースから、邪悪な記事を平気で調べもせず書くiRONN編集部が、田原さんの過去のブログ記事を、都合よく参照している。
http://ironna.jp/theme/423