田原総一朗です。
国会が閉会した。
安倍前首相の後援会が、
「桜を見る会」前日に主催した夕食会を巡り、
ここに来て動きがあわただしくなっている。
ホテルで開かれた夕食会は、
出席者の会費が5000円。
夕食会費用には明らかに足りず、
その分を安倍前首相側が補填したとされている。
政治資金規正法違反であり、
安倍前首相の秘書が、
起訴される見通しだ。
しかし、「秘書がやった」では通用しない。
安倍前首相も知っていたはずだと、
多くの国民は考えるだろう。
東京地検特捜部は、
安倍前首相に
任意での事情聴取を求めている。
僕も「桜を見る会」については、
おおいに疑問があるし、
捜査が進むのは当然だと考える。
しかし、なぜ「今」なのかという疑問がわく。
安倍前首相は持病が悪化し、
8月に辞意を表明、
9月に退陣した。
しかし、安倍前首相の体調は、
その後回復したようで、
元気な様子を見せている。
となると、いくつかの媒体で、
「安倍待望論」が起きていた。
安倍前首相を三度目の首相に、
という論である。
菅首相は、
パフォーマンス下手だ。
この国をどうするのか、
というビジョンも見えにくいし、
外交戦略もはっきりしない。
だから「安倍待望論」が起きる。
そんな時期の、
「安倍前首相へ任意での事情聴取」報道である。
官邸の力をもってすれば、
安倍前首相への事情聴取要請は、
抑えられただろう。
しかし、抑えるどころか、
その情報が新聞にリークされている。
信頼できるいくつかの情報筋によれば、
「菅首相がさせたとは言わないが、
官邸は事情聴取をあえて止めず、
その情報を流したとしか思えない」という。
いうまでもない。
「安倍待望論」を消すためだろう。
そして、安倍前首相三選の芽が消えて、
菅首相がほっとしているのは間違いない。
長年見てきたが、
やはり政治の世界は、
深く、そして恐ろしい。
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