田原総一朗です。
9月5日、
「エンジン01 文化戦略会議」
のシンポジウムで、
石川県加賀市に行ってきた。
「文化戦略会議」という名は、
「エンジン01(ゼロワン)」元代表で、
元アサヒビール社長、
故樋口廣太郎氏の命名である。
2001年に始まったこの活動は、
「経済戦略」と同時に
「文化戦略」が必要だとの考えのもと、
自由な個人の交流を通して、
刺激的な文化環境を
生み出そうというものだ。
すごいのは、錚々たる顔ぶれが、
みんなボランティアというところだ。
日本全国各地で開かれてきたが、
今回は加賀市合併20周年、
山代温泉開湯1300年記念事業、
能登半島地震・奥能登豪雨の被災地に
エールを送るため、
加賀市開催となった。
今回の大会委員長は、
俳優の辰巳琢郎さん。
シンポジウムの登壇者は、
津田大介さん、三浦瑠麗さん、
夏野剛さん、和田秀樹さん、
そして僕だ。
みなさん守りに入らない人たちなので、
前向きな話が
どんどん広がっておもしろかった。
例えば、高齢者の
自動車運転がテーマとなった。
今、社会的に、
「高齢者は免許を返納すべき」
という風潮が高まっている。
しかし、「高齢になって、
危険だから運転を辞めよ」
というのではなく、
高齢でも安全に運転できる車や、
仕組みを考えることが、
高齢化社会では必要ではないのか、
という意見が出た。
特に地方に住んでいて、
「買い物や通院に車が必要、
というような方は
運転をやめないほうがいい」
と和田秀樹さんは言う。
生活の自由度が低下し、
老いを一気に加速させる
「ボケる」可能性が高いからだ。
僕は運転はしないけれど、
これはよくわかる。
地方では自動車が「足」である。
自分の好きな時に出かけ、
友人に会ったり、
買い物をしたりできる自由が
奪われりしたら、
認知能力などに影響があるのは、
当然だろう。
どうも世の中が、
「自粛」「守り」ムードが強すぎる、
と感じる。
そもそも「高齢になれば
事故を起こす確率が高くなる」
というデータはない。
少し細かいが、
警察庁交通局が発表する
交通事故状況データを紹介する。
事故件数で最も多いのは
16歳から19歳で976.3件、
次いで20歳から24歳が551件。
85歳以上は496.1件だが、
それでも20~24歳より低い。
※令和6年一般原付以上運転者(第1当事者)の
年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数の推移より
高齢者の免許返納より、
社会全体で年代問わず、
事故をさらに
減らすような技術、
環境整備をすべきでは
ないかという意見も出た。
たしかにそう思う。
シンポジウムでの
みなさんの前向きな話に、
僕は何か力が湧いて来るようだった。
加賀に行く少し前にも、
うれしい出来事があった。
9月2日、
村本大輔さんのライブを
見に行ったときのことだ。
僕が客席から、
「乱入」してしまったのだ。
石破首相について語り、
それに続いてネタを披露する、
村本さんに「違う!」
と食いついてしまった。
秘書を務める娘からは叱られたが、
村本さんのインスタがうれしかった。
ツーショットの写真と共に、
「俺にも喋らせろ!と
朝生モンスターが。
このエネルギーはどこから」。
後日さらに、
「僕もこの歳になっても、
笑いをとり続ける姿勢を、
ちゃんと持ち続けたいです」
「遮って話そうとする
エネルギーが好きです」
というメッセージもくださった。
現代は、
多様化社会と言われる。
しかし、日本社会は、
本当に「多様性」を受け入れる、
寛容な社会になっているだろうか。
人間誰しも、
年齢とともに衰える。
年代、性別、国籍問わず、
ほんとうに多様な社会にするには、
すぐに禁止、規制したりする前に、
「ではどうしたらいいか」と考える、
前向きなエネルギーが
必要ではないかと思う。