田原総一朗です。
11月5日、
アメリカ大統領選が行われ、
トランプ氏の完全勝利に終わった。
多くの米メディアは
「接戦」を予想していたが、
それはハリス氏に
勝ってほしいからだ。
日本のメディアもまた、
アメリカの報道に頼るばかりで、
「接戦」一色だった。
どうも、国内メディアの取材力が、
特に国際的な分野において、
弱くなっているように思える。
言うまでもなく、
取材の原則は
一次情報に当たる、
すなわち当事者に直接会って
取材することだ。
これからの世代には、
肝に銘じてほしいと思う。
僕は選挙戦中盤から、
トランプが勝つだろうと予想していた。
なぜか。
第二次世界大戦後、
アメリカ合衆国は、
世界で最も豊かで、
力のある国であり続けた。
戦争によって傷ついた
欧州諸国、
そしてアジアにまで
莫大な金を投入し、
平和と民主主義を守ろうとしてきた。
「パクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)」
と呼ばれる。
しかし冷戦が終わり、
時代とともに
「パクス・アメリカーナ」は、
あまり評価されなくなった。
それどころか「覇権主義だ」などと、
対米批判が起きるようになった。
そして、
アメリカ国内の経済が冷え込むと、
国民の間に不満が蓄積されていった。
「なぜ他国のために
犠牲になったうえに批判され、
国民の生活は苦しいのか」。
そこに現れたのが、
ドナルド・トランプという男だった。
トランプは堂々と、
「アメリカ第一主義」を掲げた。
要は他の国の面倒はもうみない、
というわけだ。
この姿勢が、
長年欝々とした感情を抱えていた、
多くのアメリカ国民に
受け入れられたのだ。
さあ、トランプ大統領誕生である。
まず心配なのは、
ロシアとウクライナの戦争において、
「ウクライナを支援しない」
と宣言していること。
そして、
イスラエルとハマスの紛争である。
また、トランプ大統領は、
温暖化対策は必要ないという姿勢だ。
11月11日にCOP29が開幕している。
今後の地球環境問題も大問題だ。
そんな中で日本はどうすべきか。
日米関係を強化し、
協力していくという姿勢は大事だ。
しかしただ言いなりではなく、
日本の意見もきちんと伝えること。
先日私は石破茂首相に電話で、
「トランプ大統領に
1日も早く会いに行くべきだ」
という話をした。
大変難しい事態だと思うが、
石破首相には、
日本を背負って、
トランプ大統領と
正面から向き合ってほしい。