田原総一朗です。
ミャンマーの国軍によるクーデターが起き、
アウンサンスーチーさんが拘束されてから
3週間が経つ。
クーデターに抗議し
スーチーさんの解放を求め、
ミャンマー国民のデモは
激しさを増している。
スーチーさんは
1985年に来日し、
京都大学で高坂正堯教授に学んでいる。
私は当時親しかった高坂さんから
「スーチーさんは意志が強く聡明で、
ミャンマーの将来にとって重要な人物だ」
という話をうかがっており、
非常に期待していた。
ところが帰国後、
軍部政権によって拘束され、
7年半にもわたって
自宅で軟禁生活を送ることになった。
スーチーさんは、
軍の怖さは百も承知だったはずなのに、
なぜこのような事態になったのか。
ミャンマー問題は、
アジアにとって
非常に重要であるにも関わらず、
なぜか日本メディアは深く掘り下げない。
僕はおおいに不満である。
そこで、
2月14日放送の「激論!クロスファイア」で
キヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦さんと
国際政治学者の三浦瑠璃さんに
ミャンマー問題について話を聞いた。
アウンサンスーチーさんの
国民からの人気は絶大である。
宮家さんによれば、
「だからこそ軍部は危機感を覚え、
クーデターを起こした」という。
昨年11月に行われた総選挙では、
スーチーさん率いる与党のNLD(国民民主連合)が圧勝し、
スーチーさんの持つ権限が強化されることへの
軍の焦りがあったのは明らかだ。
スーチーさんが中心になって
憲法を改正されてしまい、
軍が不利になる。
さらに政治から軍部が排除されてしまうからだ。
軍のバックに中国がいるのではないか、
という見方もある。
これについては
三浦さんは肯定したが、
宮家さんは否定した。
今回のクーデターに中国が関与したかは不明だが、
ミャンマーに対して中国が
大きな影響力を持っていることは事実である。
ミャンマーだけでなく
ベトナム、タイ、インドネシアなど、
ASEAN各国は米中対立のなかで悩んでいる。
各国とも独自の安全保障など困難だ。
これまではアメリカ頼みでよかったが、
現在は地理的に近い中国が
どんどん力をつけてきているからだ。
アメリカのバイデン大統領は
アジアの危機を強く感じ、
日本に対して、
アジアのまとめ役としての役割を
非常に期待している。
先日僕は菅首相に会い、
アジア問題について話をした。
首相就任後、
真っ先にベトナムとインドネシアを訪問したことでもわかるように、
菅さんはアジアを非常に大事に考えている。
僕は「アジアにおいて
日本の役割が非常に重要だが、
どうするつもりか?」と問うと、
菅さんは「必ずやる。
コロナが収束後にいろいろと考えている」
と断言した。
おおいに期待したい。