田原総一朗です。
お知らせを一つ。
僕が司会を務める
「朝まで生テレビ!」の
“ 引っ越し ”が決まった。
テレビ朝日の毎月最終金曜深夜から、
10月以降、BS朝日最終日曜19時~の放送になる。
おもしろかったのは、
このニュースの伝えられ方だ。
「『朝まで生テレビ』地上波終了へ」
と何やら悲観的に書くメディアもあった。
僕自身は、新たなスタートに、
おおいにわくわくしているのに、だ。
スタートは1987年。
かつて深夜の時間帯は
見ている人も少なく、
番組も再放送がほとんどだった。
その枠でまったく新しい
討論番組をやろうとしたのが、
「朝まで生テレビ!」だ。
スタートから37年。
さまざまなタブーに挑戦し、
たくさんの人に見ていただけたと思う。
今回、ゴールデンの時間帯に移ることで、
深夜だからと見られなかった方に、
ぜひ見ていただきたいと思っている。
そして、より幅広い世代、
さまざまな立ち位置の人々が、
自由に論議できる場にしたい。
「朝生」がスタートしたころ、
一般的な映像メディアは
地上波しかなかった。
しかしこの30数年で、
メディア環境は激変した。
BS、CS、そしてインターネット。
僕もYoutubeはよく見るし、
自分のチャンネルを持っている。
やる気さえあれば、
どんな人でも発信できるのだ。
免許なんてもちろん要らない。
とてもおもしろい時代になったと思っている。
折しも、先日の「田原カフェ」に、
インターネットニュース番組
「ABEMA Prime」のプロデューサー、
郭晃彰さんにおこしいただいた。
郭さんはテレビ朝日の報道記者だったが、
2016年の「ABEMA」開局に参加、
以来、番組製作に携わっている。
郭さんは、製作にあたって、
「朝生を意識している」と言う。
僕も、郭さんの話を聞き、
おおいに刺激を受けた。
たとえば、「ABEMA Prime」では、
吃音症の方に出演してもらったという。
15秒くらい、言葉が出てこない。
「テレビというのは映像だけど、
音声のメディアなんですね」
と郭さんは語る。
基本的に無音が許されないから、
こうしたハンディキャップを持つ方の出演は
難しかった。
しかし、この放送を機に、
この吃音症の方は、
地上波の番組で取材を受けたり、
出演をされたという。
郭さんはこうも言った。
「毎回ホームランを打てるわけがない。
地上波だったら、
数字を落とした瞬間、袋だたきです。
インターネットの番組では
失敗ができるんです。
チャレンジして失敗になる分には、
いいと言われている。」
僕は「朝生」を
始めた頃のことを思い出した。
深夜の時間帯だから、
冒険ができた。
テーマを「オリンピック」だと
局の上層部に言いながら、
途中から「天皇問題」に変えたこともある。
もちろん確信犯だ。
原発、部落問題も取り上げたし、
宗教がテーマの回では
麻原彰晃にも出てもらった。
「ABEMA Prime」の過去のテーマを見てみれば、
「何歳から高齢者?」「貯金って必要?」
「AIは神になれるのか?」「なぜ人は暴力に走るのか」
……おもしろい。
郭さんは、
「型にはまってしまう恐れもありますが、
すごく面白い仕事なので、
死んでも離さない」ときっぱり言った。
僕もまったく同じ想いだ。
「朝生」の引っ越しというタイミングで、
郭さんと話ができたことに
何か強いエネルギーを感じている。
「朝生」も新たな場で、
失敗を恐れず、
ますますいろんなテーマに
挑戦していきたい。
これからもよろしくお願いいたします。