田原総一朗です。
11月18日に開いた「田原カフェ」に、
AIエンジニア&起業家&SF作家の
安野貴博さんが
登場してくださった。
安野さんは33歳。
東京都知事選に出馬、
無名候補だったのだが、
得票数15万4638票で5位という
驚くべき結果を残した方だ。
初日に渋谷で
第一声を上げたとき、
聴衆は8人ほど、
しかもうち4人は
知り合いだったらしい。
それが選挙戦最終日には、
周囲を埋めつくすほどになった。
いったい何が起きたのか。
安野さんに尋ねた。
すると「100ページくらいの
マニフェストを公開した」という。
抽象的なマニフェストが多い中、
安野さんは、経済、教育、
少子化対策……
「なるべく具体的に骨太で」書いた。
そのマニフェストは、
ネット上で今も見ることができる。
さらに安野さんの人気が
飛躍的に伸びたのは、
妻が応援演説をする動画が、
安野さん曰く、
「鬼のようにバズッた」ことにある。
その演説がすばらしいとSNSで拡散、
街頭演説に集まる聴衆は、
2週間で飛躍的に増えたのだ。
ちょうどこの前日、
斎藤元彦氏が、
兵庫県知事当選を決めていた。
自ずと「SNSと選挙」の話になった。
安野さんも、
自分の得票数の飛躍は、
「SNSの力」が大きかったと言う。
根底にある既存メディアへの不信感、
自然派生する
ネットボランティアについて、
さまざまな意見が出た。
印象的だったのは、
その議論に対して、
ある参加者のこんな意見だった。
「(参加者たちは)
何が原因で斎藤さんが当選したか、
外にばかり原因を求めている。
斎藤さんに投票した
その人たちの内側に
何があったかを考えず、
SNSなど『外的要因』
ばかり話している。
こうした先入観ありきの議論が、
『分断が広がる理由』」
になるのではないか
と彼は言った。
たしかにその通りだ。
アメリカの大統領選にしても、
兵庫県知事選でも、
投票した人には、
その人なりの理由がある。
それを単に「SNSの影響」
で片づけてはなるまい。
結論は出ないにしても、
その「理由」を考えることが大切だ。
安野さんも、こう話した。
「今回の兵庫県知事選は、
SNSを見れば見るほど、
何が真実なのか、
私もほんとうにわからなかった。
県民にとっては
難しい判断だったと思う」。
僕にも兵庫県の問題について、
本当のところはわからない。
だが一つ言えることは、
今回の斎藤県知事再選という結果が、
「結論」ではないということだ。
県政はこれからも続く。
これからまだまだ、
いろんな問題が出てくるだろう。
今回の選挙は通過点。
僕たちは今後の展開を、
きちんと見続けていく。
その気持ちが大切なのではないか。