田原総一朗です。
9月27日は自由民主党の、
総裁選投開票日だ。
9人の候補が名乗りを上げているが、
どうにも緊張感がない。
事実上、日本の首相を決める
大事な選挙であるにも関わらず、だ。
一方、アメリカでは大統領選を11月に控え、
ハリス氏、トランプ氏の両候補が
非常に熱のこもった
舌戦を繰り広げている。
日米、この違いはなぜなのか。
もちろん致し方ない要因はある。
アメリカは共和党、民主党という
二大政党がぶつかっているのに対して、
日本は自民党内の総裁選だ。
自民党員以外の一般国民に
投票権があるわけではないから、
どうしてもよそ事に見てしまう。
だが、もう一つ大事な要因があると思う。
自民党総裁の候補者たちは、
「今自民党に何が求められているか」
わかっているはずなのに、
その問題について語れないのだ。
それは何か。
国民が自民党に対して
最も怒っているのは、
明らかに裏金問題だ。
政治とカネの問題を、
どう透明化させるかが
最重要課題なはずだ。
自民党が提出した改正政治資金規正法は、
6月19日、参院本会議で可決、成立した。
政治資金パーティー券購入者の公開基準額を、
現行の「20万円超」から「5万円超」に
引き下げるといった内容だが、
企業・団体献金の禁止が盛り込まれないなど、
はっきり言って「抜け穴だらけ」。
まったくいい加減だ。
僕は、正直言えば、
政治とカネの問題の透明化は、
できないのではないかと思っている。
なぜか。
例えば、選挙活動、
有力者や識者に話を聞く場合など、
飲食を伴うケースは多い。
日本はその飲食費を
政治資金から出すこと自体が、
違法になる。
しかし、アメリカやイギリスなどは、
違法ではない代わりに、
相手の氏名を含め、
飲食費をすべて公開する決まりだ。
「透明化」させているのだ。
日本でも法改正し、
同じようにすれば、
すっきりすると思うのだが、
僕が自民党関係者やメディアに話すと、
みんなどうも乗り気ではない。
政治家側としては、
政治活動をすべてオープンにすることに、
抵抗があるのだろう。
一方メディア関係者は、
それは「買収を合法化」してしまう、
という抵抗感があるのかもしれない。
政治家もメディアも、
この問題に触れたくない傾向がある。
だから、非常に大事な問題であるのにも関わらず、
今回の総裁選でも、
突き詰めた議論にはならない。
結果、緊張感がない論戦になっている。
しかし今のままでは、
また「政治とカネ」の問題が
いつか起きるだろう。
腐敗を防ぐためには、
やはり「透明化」が必要だ。
総裁選投開票日、
27日の「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)では、
「政治とカネ」の問題についても、
切り込みたい。
現在の深夜枠では、
最後の放送となる今回の「朝生」。
ぜひご覧ください。