田原総一朗です。
テレビ朝日の番組、
「はい!テレビ朝日です」が、
僕の特集を放送してくれた。
子供時代から、
親の反対を押し切って
早稲田大学に進学したこと、
昼間働きながら、
夜に講義を受けた学生時代……。
3月2日、9日放送の2回にわたって、
僕の来し方、そして信念を、
たっぷりと放映していただいた。
番組では、長い付き合いの、
映画監督の原一男さん、
評論家の佐高信さんが登場し、
語ってくださった。
お二人が「田原総一朗」を
どう見てきて、
そして今どう見ているのか。
改めて聞いてみると
実におもしろかった。
原さんは若い頃、
僕のドキュメンタリー番組の
スタッフをしていた。
当時の僕について、
原さんはこう語る。
「カメラが回るまでの
田原さんの仕掛がすごい。
『なぜ俺は出演するんだ?』
というような人を相手にしたときの、
田原さんの口説きのテクニック。
これがすごいといつも思ってました。
『居合抜き』ってあるでしょ?
あの呼吸に似てると思うんですよ。
間髪入れずにスパッと切り込む」
僕は、ドキュメンタリーの取材を
「恋愛」みたいなものだと思っている。
嫌だと言われようが、
逃げられようが、
それで諦めるなんてことはしない。
その人のドキュメンタリーを
心から撮りたいのだから……。
その考えは今も変わらない。
それを原さんが「居合抜き」のように、
すごいと思ってくれていた。
率直にうれしかった。
もうお一人、
佐高さんの話がまた痛快だった。
ご存じのように、
佐高さんは、僕への批判も、
痛烈にしてきた方だ。
『田原総一朗よ 驕るなかれ』
という本も出しているくらいだ。
だから「仲が悪いのでは」
と思う人もいるかもしれないが、
そんなことはない。
佐高さんが批判する、
僕も思うところを話す。
共に目指すものは同じ、
「よい社会にしたい」ことだ。
佐高さんは僕にとって、
盟友と言ってもいい
得難い存在である。
佐高さんは言う。
「ある程度の
名声みたいなものを博したら、
『知らない』とは
なかなか言いにくい。
それを平気で、
というか、てらいなく、
田原さんは言うよね。
知らないことを
面白がるということ。
それが田原総一朗の最大のポイント」。
キレ味鋭い、
佐高流「田原総一朗」論を、
もう少し紹介したい。
「だいたいみんな
知ったかぶりするわけでしょ。
でも田原さんは中途でうなずかない。
だから、『不思議少年』が
『不思議老年』に
なっちゃったんだよ」
「田原さんは素直な人。
シュートとかカーブとか
投げられないよね。
剛速球も投げられない。
中途半端な反則球くらい。
変に反則球を投げて、
バッターがびっくりして打てない」
さすが佐高さん、
思わず笑ってしまった。
これからの田原についても、
佐高さんはメッセージをくれた。
「原発でも何でも、
田原さんはタブーに挑戦してきた。
最後に、最大のタブーに挑戦してください」
とてもありがたい言葉だ。
僕は、佐高さんに褒められる
仕事をしたいと思っている。
「不思議老年」、
最大のタブーに挑戦、
やり切ってみせよう。